国の貸借対照表を見てみよう
日本政府の一般会計と特別会計を統合した国の貸借対照表は下記の通りです。
貸 借 対 照 表
平成22年3月31日現在 単位:兆円
資産の部 金額 負債の部 金額
現金預金 19 政府短期証券 97
有価証券 92 公 債 721
貸付金 155 借入金 22
運用預託金 121 預託金 9
その他流動資産 17 責任準備金 10
国有財産 37 公的年金預金 130
公共用資産 145 退職給与引当金 12
出資金 58 その他負債 18
その他固定資産 3 債務超過額 △372
資産合計 647 負債合計 647
出典:日本の財政―平成23年版(東洋経済出版社)から作成たものですが、財務省のHPにも平成23年度の正式なものがあります。
http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/national/fy2010/2010_01a.xls
この貸借対照表を分析すると、資産のうち道路・港湾・橋・ダム等など公共用財産145兆円は行政サービスを提供する目的で所有しており、売却出来ない資産であり、債務の返済に充てることはできないため、実質的な債務超過額は517(372+145)兆円を超えています。
国の借金は公債(国債)、政府短期証券、借入金の合計840兆円です。
政府短期証券と米国の有価証券(国債)が約90兆円あります。また、国民年金や厚生年金の保険料として国民から預かっている資金が130兆円あり、その運用のため委託金が121兆円あることが分かります。
「わおーっ!国の債務超過は372兆円もある!」・・・・って、単純に考えてはいけません(多分・・・)。上記の財務省のHPには実に様々な数字の表があり、会計士でない記者には分からないことだらけです。
しかし、「国債金利が上昇した場合、国の保有する有価証券や貸付金の金利も上昇するので、国債金利上昇分を相殺できる!」と主張する人々へ疑問を呈することはできます。
なぜなら、国の借金約840兆円に対し、国に利息をくれる資産は現金・有価証券・貸付金の約266兆円しかありません。(運用預託金は年金の原資で、国民に還元されるものですから除外できます。)
両者を比較すると、3・15倍の差があります。その上、現金のほとんどは利子を生まない当座預金に入っていると思われます。そうすると、残りは245兆円になり、その差は3・4倍に広がります。
しかし、意味不明の主張をする人は「国債は一番利息が安い!だから、国の受け取り利息で相殺は可能だ!」と主張します。もしも、そうだとしても、国債残高は毎年30〜40兆円増えており、尚且つ、自民党政権は公共事業費をほぼ国債発行で補おうとしていますから、国債残高は加速度的に増えますが、有価証券・貸付金は同じように増えるでしょうか?この差は開く一方であることは明白ですね。
さて、意味不明の人々は、この本紙の疑問にどう答えるのでしょうか?
非常に楽しみです♪
まあ、簡単です。去年の国債支払利息約8兆円に対し、有価証券と貸付金からの受け取り利息がいくらあったか調べて公開し、あわせて、この受け取り利息が今後増えていくことを証明すればいいだけです。本当は、記者も調べたのですが、表が多すぎて探せませんでした・・・・財務省はもっと分かりやすいHPにしてください!